生命保険の受取手続
生命保険は請求しなければ、絶対に支給されません!
一般的に生命保険として思い浮かぶのは各生命保険会社の「生命保険」のことですが、そのほかに郵便局の「簡易保険」、勤務先での「団体生命保険」、会社経営者や幹部のための「経営者保険」などがあります。
どの生命保険でも請求人による支払請求の手続きがなされないかぎり、生命保険金は支払われません。
一般的には、記入した死亡保険金請求書と一緒に、生命保険の証書、保険会社所定死亡診断書、被保険者(死亡した人)の除籍抄本もしくは住民除票、保険請求人の印鑑証明と契約時の印鑑、戸籍謄本、振込先口座番号、請求人の身分を証明するものを添えて、生命保険会社などへ提出します。
死亡保険金は、どんな理由があるにせよ2年以内(法規では2年以内と定められていますが顧客のために、3年以内としている保険会社も多い)に手続をしないと保険金を受け取る権利がなくなります。
提出した書類の誤りがなければ、保険会社から1週間ほどで保険金が支払われます。
また、勤務先などで、本人が知らないうちに団体生命保険に加入していることもあります。
このような団体生命保険は、会社の急な支出に備えたり、慰霊金に当てる目的で、保険金の受取人が個人ではなく勤務先になっているケースも多いようです。
この点も一応勤務先に確認しましょう。
生命保険加入者(被保険者)が死亡した場合は、保険金受取人は「死亡保険金の受け取り手続」を行わなければなりません。
保険金が受け取れるかどうかは保険の種類、特約の種類などによりますので、早めに保険会社、代理店に連絡しましょう。
ちなみに「生命保険の死亡保険金」は、受取人が特定されている場合は受取人の財産とみなされますので、遺産分割における「相続財産」に含みません。
■ 生命保険金(死亡保険金)の受け取り手続
1. 保険金受取人が保険会社(代理店)へ通知
2. 生命保険会社から必要書類等が送付
3. 保険金受取人が必要書類等を提出し、請求手続きを行う
4. 生命保険会社による支払い可否判断
5. 支払い可と判断されると保険金受取人が保険金を受け取る
■ 生命保険金(死亡保険金)が受け取れない場合
・ 保険会社が定めた期間内の自殺。
・ 契約者、死亡保険金受取人が故意に被保険者を死亡させた時。
・ 戦争その他の変乱による死亡。
■ 死亡保険金を受け取る際に必要な書類
・ 保険金請求書(保険会社所定の物)
・ 保険証券
・ 死亡診断書
・ 故人の戸籍謄本
・ 保険金受取人の印鑑証明書
・ 保険金受取人の戸籍謄本
※必要書類は各保険会社、または保険の内容によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
銀行口座の名義変更
相続が発生すると、すべての口座は凍結します!
被相続人の名義である預貯金は、一部の相続人が預金を勝手に引き出すことを防止するために、銀行などの金融機関が被相続人の死亡を確認すると、預金の支払いが凍結されます。(一部葬儀費用は出してもらえる場合もありますが)
凍結された預貯金の払い戻しを受けるための手続きは、遺産分割が行われる前か、行われた後かによって手続きが変わります。
おおよその手続は以下のとおりです。
(なお、金融機関によって必要な書類等は異なりますので、それぞれの金融機関に直接お問い合わせください)
■ 遺産分割前の場合
遺産分割前の場合には、以下の書類を金融機関に提出することになります。
1. 金融機関所定の払戻し請求書(相続人全員の署名・実印による押印がされたもの)
2. 相続人全員の印鑑証明書
3. 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのものすべて)
4. 各相続人の現在の戸籍謄本
この他、金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせてみましょう。
■ 遺産分割後の場合
遺産分割協議に基づく場合、調停・審判に基づく場合、遺言書に基づく場合によって必要な書類が異なります。
■ 遺産分割協議に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。
1. 金融機関所定の払戻し請求書(申立人の署名・実印による押印がされたもの)
2. 相続人全員の印鑑証明書
3. 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのものすべて)
4. 各相続人の現在の戸籍謄本
5. 被相続人の預金通帳と届出印
6. 遺産分割協議書(相続人全員が実印で押印)
この他、金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせてみましょう。
■ 調停・審判に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。
1. 家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本(いずれも家庭裁判所で発行を受けることができます)
2. 預金を相続した人の戸籍謄本と印鑑証明書
3. 被相続人の預金通帳と届出印
この他、金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせてみましょう。
■ 遺言書に基づく場合
以下の書類を金融機関に提出することになります。
1. 遺言書
2. 被相続人の除籍謄本(最後の本籍の市区町村役場で取得できます。)
3. 遺言執行者の印鑑証明書
4. 被相続人の預金通帳と届出印
この他、金融機関によっては用意する書類が異なる場合もありますので、直接問い合わせてみましょう。
株券の名義変更
株式の名義変更は被相続人名義の株式が、上場株式か非上場株式かによって手続が異なります。
■ 上場株式の名義変更の手続
上場株式は証券取引所を介して取引が行われていますので証券会社と相続する株式を発行した株式会社の両方で手続をすることになります。
■ 証券会社における手続
証券会社は顧客ごとに取引口座を開設していますので、取引口座の名義変更手続を行います。
取引口座を相続する相続人は、以下の書類を証券会社に提出して名義変更しましょう。
1. 取引口座引き継ぎの念書
2. 相続人全員の同意書(証券会社所定の用紙)
3. 相続人全員の印鑑証明書
4. 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
5. 相続人の戸籍謄本・株式を発行した株式会社における手続
証券会社で取引口座の名義変更手続が終了した後は、株式を発行した株式会社の株主名簿の名義変更手続をすることになります。
この手続に関しては証券会社が代行して手配してくれます。
■ 非上場株式の名義変更手続き
この場合取引市場がないので、それぞれ会社によって行う手続が変わります。
発行した株式会社に直接問い合わせましょう。
遺族年金
遺族年金は残された遺族の生活を保障してくれる制度です。
疾病や負傷によって、不幸にして亡くなった場合に、亡くなった方の年金受給権を遺族が引き継ぐといった形で、その遺族などの生活保障として「遺族年金」が各制度から支給されます。
あくまでも遺族の生活保障という意味合いの年金ですので、遺族には一定の要件があります。
家計を支えていた世帯主を失い、子供を養育している妻には手厚い制度であったり、残された18歳未満の子供には加算があったりします。
また、本人が自身の老齢年金や障害年金を受給する事となった場合には、支給停止となることや、併給されても制限を受けることがあります(1人1年金の原則)。
併給の場合には、遺族自身の選択によって、より有利なものを選ぶことができるようになっています。
ここでは、遺族年金の種類について見ていきましょう。
■ 遺族基礎年金
国民年金からの支給です。
一定の要件を満たした被保険者や老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合に、その者の「子のある妻」又は子に支給されます。
年金額は、792,100円+子の加算額。(平成21年度)
■ 寡婦年金
国民年金からの支給です。
1号被保険者の夫が、老齢基礎年金を受けることなく死亡した場合に、「子のない妻」(65歳未満)に支給されます。
65歳からは妻自身の老齢基礎年金が支給されますので、寡婦年金は支給されません。
年金額は、死亡した夫が受け取るはずの老齢基礎年金額の4分の3に相当する額。
■ 死亡一時金
国民年金からの支給です。
1号被保険者であった者が、年金を受け取ることなく死亡した場合に、遺族に支給されます。
遺族の範囲は、生計を同じくしていた、配偶者 – 子 – 父母 – 孫 – 祖父母 – 兄弟姉妹のなかで、先順位のものに支給されます。
寡婦年金を受けることができるときは、選択により一方が支給されます(両方支給されることはない)。
死亡一時金の額は、保険料の納付期間により、120,000円から320,000円の範囲で支給されます。
■ 遺族厚生年金
厚生年金保険からの支給です。
厚生年金保険の被保険者又は被保険者だった者が死亡したときに、その遺族に支給されます。
遺族の範囲は、死亡した者によって、生計を維持されていた、配偶者子 – 父母 – 孫 – 祖父母で、先順位のものに支給されます。
年金額は、死亡した者の老齢厚生年金の額の4分の3相当額。